根府川の海

美しく晴れ渡った
冬の日

ふと立ち寄った本屋で
茨木のり子の根府川ねぶかわ の海を読んだら
一気にそこへ連れていかれた

— あふれるような青春を
リュックにつめこみ —
詩人は痛切に駅から見えた海を思い出す

小田原の少し向こう
東海道線の小さな駅
無人のホームに
とつぜん藍色まっさお な海が飛び込んでくる

根府川の海よ
海よ
海よ
藍に染まって
人は微塵みじん

平成二十九年二月
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